「freq – 260725 音の始源を求めて Presents 立体音響とノイズ」
日時 2026年7月25日(土)12:00 – 20:00
会場 九州大学大橋キャンパス多次元デザイン実験棟実験ホール
料金 無料
定員 ライブ・パフォーマンス&トーク・セッション 88名(先着順)*予約後に来場ができなくなった場合は事前にご連絡お願いいたします
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1950年代半ばに設立されたNHK電子音楽スタジオで生まれた電子音楽作品を、立体音響によって再生・検証する8時間のコンサートです。NHK電子音楽スタジオの作品群は、日本の現代音楽史における重要な遺産であり、同時に、テクノロジーと人間の創造力が交差した貴重な音響文化でもあります。
今回のテーマは「立体音響とノイズ」です。ここで取り上げるのは、いわゆるノイズ・ミュージックという言葉が広く語られる以前に、NHK電子音楽スタジオの作品の中で生まれていた「ノイズ・ミュージック以前のノイズ・ミュージック」です。発振器、テープ編集、変調、フィルター、残響、空間移動によって構成された音響は、旋律や和声を中心とした音楽とは異なり、音そのものの密度、圧力、運動、質感によって聴く者に迫ります。
本公演では、それらの作品を通常の鑑賞音量ではなく、身体で感じることのできる音響として再生します。耳で聴くだけではなく、皮膚で、胸で、空間全体で受け止める音楽体験です。そのため、一部のプログラムでは大音量での再生を予定しており、来場者には耳栓の使用を推奨します。これは単なる爆音体験ではなく、電子音楽が本来持っていた身体性と空間性を、現代の音響環境の中で再確認するための試みです。
会場となる九州大学大橋キャンパス、旧九州芸術工科大学は、日本における電子音楽と立体音響の歴史を語る上で重要な場所です。安藤由典をはじめとする電子音楽の実践、また大阪万博などで立体音響の基礎を築いた北村音一の仕事は、音を単に再生するものではなく、空間そのものを設計するものとして捉えていました。九州大学芸術工学部は、音響を技術、芸術、身体、空間の総合的なデザインとして扱ってきた歴史を持っています。AIが音楽や映像を瞬時に生成する時代に、かつて人間が膨大な時間と手作業によって作り上げた電子音楽を、あらためて立体音響で体験することには大きな意味があります。それは懐古ではありません。むしろ、AI時代において見失われつつある、音を作る身体性、編集の手触り、空間を聴く感覚を、現在の学生たちと共に再発見するための試みです。
当日は、九州大学の学生・職員たちが運営スタッフとして参加し、音響、会場運営、記録などを通して本企画を支えます。また、プログラム内では本学生・職員で構成されたアートコレクティブによる約30分の演奏も予定しています。過去の電子音楽作品を再生するだけでなく、現在の表現と接続することで、電子音楽の歴史を未来へ開いていきます。
「音の始源を求めて Presents 立体音響とノイズ」は、NHK電子音楽スタジオの遺産を、九州大学という音響芸術の重要な場所で、現在の身体へ、そして次世代へと手渡す企画です。ノイズとは、単なる雑音ではありません。そこには、まだ音楽と呼ばれる前のエネルギーがあり、人間がテクノロジーと格闘した痕跡があります。AI時代のいま、私たちはロストテクノロジーとしての電子音楽を、もう一度、未来のために鳴らします。
▼ プログラム
11:30 open
12:00 pre talk
12:10 start(適宜休憩を挟みます)
<お祭り広場>
松平頼曉 《おはようの音楽》
icon(イコン) 《つもり》
<ノイズの始源>
諸井誠 電子音響による5つの断片《ヴァリエテ》
松平頼曉 《トランジェント ’64》
松平頼曉 テープのための《アッセンブリッジス》
<ノイズから声へ>
湯浅譲二 ホワイト・ノイズによる《イコン》
湯浅譲二 《ヴォイセス・カミング》
<ノイズと環境>
水野修孝 《怒りの日》第3楽章
一柳慧 《ザ・ワールド》
<ノイズの彼方>
J・C=エロア 《楽の道・マテルアル》
19:30 after talk
20:00 closing